fc2ブログ

喜界島2 『朝日酒造』訪問記

ホテル前まで迎えに来てくださったのは、
『朝日酒造 四代目 喜禎浩之』さんです。
島の造り酒屋さんというより、アーバンな研究者?といった印象。

御挨拶もそこそこに、「造りを止めているんです。蔵は今何もないんですよ…」
と、申し訳なさそうにおっしゃいます。
勿論、事前に休みに入っていることは伺っておりますのに…やはり島人のやさしさが。
「こちらこそ、お休みの日に御案内いただいて、申し訳ございません」

「ではまず仕込みをしている蔵を見ていただきます」
ということで、四代目の車に乗ること2分?いや1分?
仕込み蔵
『朝日酒造』さんの蔵に到着。

さて『黒糖焼酎』は、奄美群島のみで生産される焼酎で、
原料は「米」「水」そして「黒糖」。
簡単に造りの手順を簡単に御紹介しますと
①お米を洗って蒸して、麹菌を付けて米麹を造る→②一次仕込用タンクに「米麹」「水」「酵母」(混ぜた物が一次もろみ)を投入して「発酵」させる(一次仕込み)→③二次仕込用タンクに移し、黒糖を溶かして加え「発酵」させ二次もろみを造る(二次仕込み)→④二次もろみを単式蒸留機で蒸留し「原酒」になる→⑤原酒を貯蔵して「熟成」させる→⑥アルコール度を調整し瓶詰め出荷する

では「朝日酒造」さんの様子をご覧下さい。
その前に、工場の中は「下足厳禁」。サンダルに履き替えます。
(清酒の蔵を除き、焼酎蔵は皆下足のままだったような…きれいにしています)

お米が積んであります。
「国産うるち米」と「タイ米」を使い分けているそうです。
国産米は「滑らか」で「柔らかい」印象の酒になり、
タイ米は「シャープ」で「透き通った」イメージに仕上がるとのこと。
うるち米 洗米・蒸米 洗米・蒸米
お米は隣の、ドラムのような機械で「洗米」「蒸米」。
その後(写真はありませんが)三角お屋根の麹室(?機械)で麹菌がつけられ「米麹」となります。

「米麹」はこのタンクへ
仕込み蔵3
「水」と「酵母」が加えられ「発酵」。「一次もろみ」になります(一次仕込み)

さて、主役「黒糖」さんがいいよいよ登場。
黒糖液化
この「かまぼこ型」をしたスチーム器で焦がさぬように溶かされます。
他の蔵では「大きな鍋型」の物を見ましたが、「この方が全体を見渡せるので」とのこと。

今度はステンレスのタンク(二次仕込み用)に先ほどの一次もろみを入れ、
溶かした「黒糖」を冷まして投入。
仕込み蔵5
温度管理されたタンクの中でじっくり「アルコール発酵」は進みます。
仕込み蔵4
タンクの口は上にありますので、足場がかかっています。
足場というより、網張りの二階の床といった感じ。これなら作業も安全です。

さあ、二次仕込が終わればあとは「蒸留」です。
「朝日酒造」さんには3基の単式蒸留機があります。
それぞれ、首の形や角度が違っており、個性によって使い分けておられます。
ポットスティル ポットスティル2
蒸留されたお酒が「原酒」です。
原酒はやはり温度管理のされたホーローのタンクに入れられ「貯蔵」。
この間、余分な油分を掬い取ります。
仕込み蔵7
この後、瓶詰めされ製品になります。

左から「瓶洗機」。結構時間がかかるそうで以外でした。
中が「充填機」。下から瓶を押し上げるとジャーっとお酒が出てきます。
右は「打詮機」。
瓶洗 充填 打詮
あとは、ラベルを貼って箱詰め…
いえ、最終的に不純物などが混入していないか検査をしてからね。
あとは、ラベルを貼って箱詰め…
いえ、最終的に不純物などが混入していないか検査をしてからね。

さてこれで一通り「黒糖焼酎」が出来るまでを見せていただきました。
さてこの蔵の印象はといいますと、
一言で言えば「きれい」
よく酒のつくりは「掃除」と用具を「良く洗う」ことと言われますが、
全くそのことを実践されている事に感心!
旧竈

こちらは、昔使っていた竈。
今は、シンボルに。



四代目が「今日は運転しますか?」
「しませんよ~」と言いますと、
「では試飲します?よね」とおもむろにタンクをあけて

試飲1
中には透き通る液体がたっぷり、おもむろに柄杓でかき回します。
「均一にしませんと…」
蔵の中は更に「甘~い」香りが漂います。
「今年仕込んだ『陽出る國の銘酒』です。まだ硬いですが…」
試飲2
『陽出る國の銘酒』は「ひいずるしまのせい」と読みます。
四代目 喜禎浩之さんの「フラッグシップ」
喜界島産の黒糖のみを使った、渾身の作品です。

まだまだとおっしゃっていましたが、どうしてどうして
黒糖の香りが、透き通ったイメージの中に…
繊細な香りの中に、しなやかな骨格が感じられます。
「いいですねえ」しか言えない私。

熟成するとどうなるのやら…

「次は、貯蔵専門の蔵を見てください。空港からいらっしゃった時見えましたでしょう。」
と、促され車に乗りました。

次第に四代目は「どういう事が」したいのか。
彼の哲学が顕かになってきます。

次回をお楽しみに~

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)